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競馬コラム

心地好い居酒屋

2021年04月21日(水)更新

心地好い居酒屋:第103話

「東京には来ないで下さい」――。小池が警告を発するが「そう言われてもなぁ。こっちはエッセンシャルワーカーみたく、世間の役に立っちゃあいないが処方箋がないことには耐えられないし。なぁ親爺」。冷やかし混じりで自嘲気味に遠野が苦笑いする。


 午後5時を過ぎたとはいえ、まだまだ明るく、日差しも強い。今年一番の陽気じゃないかと思えるほどの好天に恵まれた20日、「頑鉄」入り口前の縁台に座っての会話だ。この日の横山は特集番とのことで、まだ来てない。


即座に親爺が反応した。「いつまで続く泥濘(ぬかるみ)ぞ、てヤツだな。アベゾーも酷かったけどガスの場合は野卑た策略がみえみえだけに、輪をかけて酷い。今回の“マンボウ”だって、この間(12日)の国会ではまともに“蔓延防止等重点措置”を言えず、『この ……蔓延防止重点施策を行っているわけでして』ともぐもぐ。それもペーパーに目を落としながら、同じことを繰り返す始末。さすがに質問者も『正確に言えないなんて』と呆れていたな」。憤懣やるかたない様子だ。


「もともとあいつには“国民の生活と命を守る”なんて殊勝な気持ちは二の次三の次。誠意そのものを雪深い秋田に置いてきたんだろ。ガスの嘘や詭弁、強弁に無知を挙げだしたらキリがないが、中でも啞然呆然だったのが3年前だったか、大阪北部地震の時の言葉だな。いわく『被害に遭われた地域、特に“マイカタ”の皆さんには……。』と。どこが国民の安全を守り、寄り添う姿なんだ。ふざけた野郎よ」。一発かまし、自販機で買ってきた水を飲んだ。


「あれか?ヒラカタ(枚方)の件だな。被災地の地名さえ読めんかったもんな。でもよ~。北方領土担当の大臣が“ハボマイ シコタン”を読めなかったし、“云々”(うんぬん)が“でんでん”になったり“ふしゅう”なんて奴もいたな。結局、そんな連中はアホを“踏襲”してるってことか」と親爺も納得。最近の政治家にウンザリしながら「一本吸わせてもらうよ」。煙草に火を点けた。両切りピースの甘い香りが漂う。古き良き昭和の臭いだ。


遠野がクンクン鼻を鳴らしていると「悪かったかな」「いやいや楽しんでるよ。まぁ万が一コロナに罹ったら思いっきりショートホープを吸い、医療従事者に迷惑をかけず、人に移す前に清水さんの所に行くよ。それだけの覚悟はできてるさ。ただ、親しかった連中に挨拶できないのは心残りだけどな」


「そんな寂しいこと言いなさんな。俺はもっともっとおまさちゃんや京子ちゃんと一緒に飲みたいよ。とのさんが居なければ二人も集まってくれないかも知れんし…」「そうかぁ。俺はダシか。尤も、ダシとはいえ人の役に立つんなら、もう少し踏ん張ってみるか」


「そうこなっくちゃ。しかし、あの吉村って知事もロクなもんじゃねぇ。まさに<小人閑居して 不全を為す>だな。去年は兵庫からの来阪の自粛を促し、かと思えばイソジンで騒がせ、感染者続出の中、大阪都構想の住民投票を実施したり、正月明けに“一都三県”で緊急事態宣言を要請しようとした時には『そうなったら東京への出張自粛をお願いする』とかほざいて…。おまけに解除を早めたり、感染者が増えると慌てて緊急事態宣言を他府県に先駆けて要請だろ。目立ちたがり屋か権力を使いたいのかサッパリ分からん」。自分ちの店は早くから自主的に時短営業、万全の予防態勢を取っているだけに今日の親爺の怒りは本気だ。京子ちゃんに一年会えてないのも怒りの一因かも。


「どれもこれもロクなもんじゃないが俺はハテナの黒岩も気に入らん」。遠野が返すと「ハテナ?」。親爺、首を捻った。「今の親爺の仕種通りよ。カッコつけてるのかどうか知らんが、黒岩はたいてい首というか頭を右に傾けて喋っているから…。今度見てみな。その頭の中は保身とマスク会食しかなく、小池に対抗していかに親分・菅の気分を損なわないかに汲々してるみたいだな。ま、さすがに今回だけは横浜、川崎に相模原には“重点措置”をとるらしいけど」


「そう言やぁ小池が『東京には来ないで下さい』と言った時には『思わず笑っちゃいました』なんてバカにしてたみたいだけど、自分だって去年は『湘南には来ないで下さい』なんてアナウンスしてたっけな」。親爺、自分でうんうんと頷くと、最後の一服を深く吸い込んで火を消した。


「アベゾー時代は“困った時の北朝鮮”で危機を煽りに煽って選挙に臨んだが、ガスは“窮した時の新型コロナ”ってとこか。国民の命なんて身内と仲間以外は興味なし。コロナ蔓延のお陰で倅と総務省の癒着問題も霞んじゃったもんなぁ」


「でもよ~。ガスもまさかコロナがここまで広がるとは思ってなかったんじゃねえのか」。親爺が突っ込む。


「そこよ。だから慌てて日米会談を頼み込んで実現させ、9月までの“ワクチン確保”を発表したに違いない。打てるかどうかも分からんし、所詮、狸の浅知恵よ。ファイザーのCEOと電話で折衝して成功したなんて自慢してるが、電話なら日本に居たってもっと早くに頼めるだろ」


親爺“なるほど”とばかりに首を縦に振り「分科会ってのが学術会議みたいに完全独立で政府にもの申し、メディアがもう少し国民目線で真実を報道してくれればコロナも押さえ込み、国民も安心安全に暮らせるだろうに。やはり、とのさんが昔から言ってたように“インナークロス”は早々に禁止すべきだったな」とポツリ。


価値観を共有している爺さん二人、戯言を言い合うことで日頃の鬱憤を多少は晴らせたようで「入るか」と笑顔で立上がった。横山が来たのはその時だ。


「今晩は」の挨拶もそこそこに「いやぁ畏れ入りました。遠野さんの仰っていた通り、金子オーナーは後発のGⅠ(阪神JF)勝ちをクラシック(桜花賞)に繋げ、ノーザンはクラシック2連勝。やはり今年のクラシックはノーザンは例年以上に外せないようですね」と。「そんなの俺じゃなくても競馬ファンなら皆んな感じてるだろ。それより何より、“臭い物には蓋”じゃなく、競馬を支えているファンが苦しんでいる中、『持続化給付金』を申請した輩、とりわけ経営者でもある調教師には相応の罰が必要だろ。尤も、審議にもかけず『○番の進路が狭くなった事象がありました。この件については後ほどパトロールフィルムを放映します』でチョンにするお上目線の競馬会には一般庶民の声は届かないか」


源田威一郎

GENDA ICHIRO

大学卒業後、専門紙、国会議員秘書を経て夕刊紙に勤務。競馬、麻雀等、ギャンブル面や娯楽部門を担当し、後にそれら担当部門の編集局長を務める。
斬新な取材方法、革新的な紙面造りの陣頭指揮をとり、競馬・娯楽ファン、関係マスコミに多大な影響を与えた。
競馬JAPANの主宰・清水成駿とは35年来の付き合い、馬主、調教師をはじめ懇意にする関係者も数多い。一線を退いた現在も、彼の豊富な人脈、鋭い見識を頼り、アドバイスを求める関係者は後を絶たない。

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